状況が変わり始めたのは、
オープンからちょうど1年が経過した頃です。
当初考えていたよりも客足が伸びなかったことで、友人は焦りを感じていました。
そこで、価格を下げることによって集客を強化することにしました。
しかし単価が下がったことにより、
こなさなければならない仕事量は膨大になり、
思ったよりも利益が上がらなかったため、
友人は心身ともに疲弊してしまいました。
私が変化に気づくことができれば良かったのですが、
真面目で責任感の強い友人は、一人で抱え込んでしまい、
相談をするという発想に至れなかったそうです。
ただ、経営において計画と実態が食い違うことはよくあることで、
決して本人が悪いとは言えません。
重要なのは「焦る」ことではなく、「過去・現在・未来を客観的に見通す」ことです。
とはいえ、お恥ずかしながら私も初めに起業をした時は、
ちょっとしたトラブルに動転し、
右往左往してしまうことがよくありました。
そんな時に私を救ってくれたのが、同業者の先輩です。
しかし、先輩が教えてくれたのは
「詳細なノウハウ」や「経営方針」というわけではありませんでした。
むしろ「最近どう?」「俺もそんなことあったなあ」といった、
一見他愛もない雑談でしたが、
そのように話していく内に
不思議と現状が整理されて、
今後の経営の見通しを立てることができました。
私が経営を長く続けられたのは、この先輩の助けがあってのことだと思っています。
本当は私も経営に困っている人を助けることで、
この恩を返さねばなりませんでした。
しかし、私が友人からお店の実情を聞くことができたのは、お店を畳むことが決まった後でした。
友人は現在この事実を前向きに捉え、第二の人生を歩んでいます。
大変勇気のある行動だと思います。
しかし、世の中にはまだまだたくさんのサロンがある一方で
残念ながら未だ厳しい現状であると言わざるを得ません。
そこで、私はせめてもの償いとして
サロンの支援事業を始めました。